TOP > インタビュー > うつぼコサック インタビュー 1/3

次の記事
島崎智子 インタビュー
うつぼコサック インタビュー 1/3
2013.12.12 writer:sakanastyle
ロックバンドは友達とバンドを組むのが一番いいよ 僕は音楽以外の話では、ミュージシャンと盛り上がるという経験がほとんどないというキャパシティーの狭い人間なんだけど、うつぼのコサックとは話していておもしろい。 ロックンロールは多数決じゃない。だから人の真似すんのは止めたほうがいいと思う。 コサック いま、夏フェスで投票制のオーディションとかあるじゃないですか? 友達に「一日1回必ずクリックしてください!」ってオレはちょっと違うんじゃないかな?って気がすごくしてて。少なくともオレならクリックしないし、そういうやり方が嫌いだからうつぼはそもそもエントリーすらしてないけどね。ちゃんとオファーが来たら喜んで出ますっていうスタンスです(笑) ――なんか友達コンテストみたいになってるっていうことですか? コサック そう思ってる人って多分たくさんいると思うし。きっと感覚的な問題で、「聞いてみて良かったら押してください」っていうんなら分かるんすけどね。一日1回クリック出来るとか、同じ人がマン喫で何回も出来ちゃうとか、これが選挙だったら不正だよね(笑) ――うつぼが出たフジロックの「ROOKIE
友達なら、それはもう正解とか不正解とかなくて、
本物もニセモノもない
間違ってることも言うし
むしろ間違ってることを自信満々で言う
情報性や所感をぜーんぶスっ飛ばして、いきなり分析、そしてラジカルな結論へと彼はもっていくのだ。
僕はそういうせっかちな思考パターンがとてもしっくりくるので、なんだかコサックと同じ土俵に立ったみたいで気分がいいんだけど、その数時間後には彼はステージ上で観客の目をクギづけにして、僕は彼が話したコトバをテープから起こしながら、これを書いているのである。
才能は不均等に与えられている。
おととし子供も生まれ、アルバム「友達とバンドを組んでいる」をリリース。
そんなうつぼのボーカル、コサックの話を聞いてほしい。2012/6/7 高円寺「4丁目カフェ(文責・取材/利根川)
コサック あれは本当にガチのデモテープで。もしかしたら色んな大人の事情もきっとあったんだろうけど、そんな事情のすき間に「路上枠」っていうのがきっとあって。それでしたね俺たちは
――なるほど。いずれにしてもあれは「クリックしてください」の投票制ではなかったんだよね?
コサック あれはもう、向こうさんが勝手に選ぶやつですから。完全に独断と偏見ですよね。でもどっかのロック好きのおっさんの独断と偏見なんてサイコーじゃん(笑)多数決はもうほかの人たちがみんなやってるじゃないですか?言ってみたら世の中ぜんぶ多数決ですよ。でもロックンロールは多数決じゃないから。部屋でパソコン前にしてポチポチやっても、アイドルの足元にも及ばない(笑)だから人の真似すんのは止めたほうがいいと思う。
自営業のカレー屋がスパイスからこだわって作ってんのに、防腐剤に食品添加物に発色剤を加えてパッケージして、それってそこそこマズい金儲けのチェーン店じゃないですか?
――その「フジロック」をきっかけに、うつぼも音楽事務所と契約したわけだけど、せっかく入った事務所をなんで自分たちから辞めたんですか?話せる範囲でいいんですが。
コサック いや、別に全然話せますけど。まあ若気の至りです。というか今でも迷わずそうしますけど、「やりたくない事やってる暇はねぇ」みたいな(笑) まず、「あんたオレたちの音楽のファンなんでしょ?」っていうところからオレは疑問がはじまってて。それであなたはレーベルを経営してる、僕はロックンロールをやっている。うつぼのことが好きで契約したんなら、こっちは「お前、ファンだろ?」ってとこから始まってる。それを事務所の金を使って世の中に広める。「おお!お前いいやつじゃねーか!?」って思ったんですけど(笑)うつぼをたくさんの人に聴いてもらって、とにかくカッコイイことを知ってもらいたかった。でも実際は違った。「大衆向けにとにかく売れる曲をつくれ!!」ってことだけ。勘違いされて認知されてもしょうがないなっていうか、オレはこれがうつぼだと思ってるのに、それを変えて出したら「まがいもん」じゃないですか?自営業のカレー屋がスパイスからこだわって作ってんのに、防腐剤に食品添加物に発色剤を加えて、パッケージして、それってそこそこマズい金儲けのチェーン店じゃないですか?というかね、それ以前にオレ、そんな曲そもそも作りたくても作れないから(笑)
――「フジロックに出た」っていうネームバリューを利用したかったのかもしれませんね。所属のミュージシャンにロクな給料払わないで、そのバンドが売れるまで放置しとくっていう。事務所には結構呼ばれてたの?
コサック 呼ばれてたんすよ。渋谷ラママの前のマンションです。サイバーエージェントの脇ですよ。社長は「オレも昔バンドやっててそこそこいいトコロまで行って…」からはじまって。「今はCDが売れない時代だから」とか、「業界がどうのこうの」とか、「30過ぎて売れずに音楽やり続けてる昔の仲間を見ると辛くて、君たちはまだ若いしそんなふうになってほしくない」とか…。いや、ちょっと待てよ?そいつらはタダ好きだからやってるだけじゃん?こいつ、音楽やってロックが好きだって言ってるけど、結局ロックスターになれなかったんでしょ?彼はロックスターになれなくて、いま業界の人間に立場を変えて事務所やってるけど、オレ、ロックスターなんだからロックスターになれなかったやつの言うこと聞いてもしょうがないじゃん?って単純に思ったんですよ(笑)で、「それじゃあ辞めます」って言って、辞めたんです。次の記事
島崎智子 インタビュー