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古宮大志(僕のレテパシーズ)インタビュー 3/3
2013.12.3 writer:sakanastyle
――ちょっと話が脱線したので、僕のレテパシーズに戻させてください。ドラムのにたないけんさんも僕は大好きだったんですが、札幌から上京されたアディーさんが新しく加入されて、やはりバンドは変わりましたか?
大志 アディーのお陰だったのか分からないけど、俺は自分の感覚で言うと、レテパシーズを平常心で出来たのが、アディーが入ってからが初めてです。それまではにたけん(にたないけん氏。2代目ドラマー)が辞めたとか、リョウタ(藤原リョウタ氏。初代ドラマー)が辞めたとか、公にはしてないけど、古宮夏希が揉めて辞める直前までいくとか、いっぱいあって常に波乱続きで、また今も実は波乱の最中なんですけど(笑)。なんていうか、アディーが入ることによって、ようやく俺以外のメンバーが音楽をやるようになったっていうか、俺はあんまり口を出さないようにしています。後は今度観てください。
――アディーさんがレテパに正式加入して、初ライブだったお披露目ワンマンを僕は池袋のミュージックオルグで観て、ライブ後にギターの夏希さんも日誌に書かれてましたが、それまではみんなバラバラで黙々と演奏していたのが、そのライブではひとつの塊が迫ってくる感覚を味わいました。ひとことに言えばバンドのグルーブって言うのかもしれないけど。
大志 それはそうかもしらん。さっきも言ったけど俺が平常心で歌えるようになったのもアディーのお陰だとやっぱり思うし。でもやっぱりすごい難しいバンドだと思います。レテパシーズをはじめて3年間、潤とか、由宇とか、夏希とか、今だったらアディーとか、俺のために俺の歌があるように、彼らのために彼ら一人ひとりに違う歌があるんだと思います。全部自分の人生の中にあることだけど。それは特別なことでも何でもなくて。その上で自分がやってる世界はどういう世界か?って自覚してるつもりだから、やれることはやろうと思って今やってますけど。でもやれないことはやりません。周りでやりたくないことをやった上で自滅していった奴らを一杯知ってっるから。だから自分としてはドライに思ってるつもりなんだけど、周りからしたらそうは見えないでしょうけどね。
――大志さんはリアルな友達の事を歌っている歌が多いと思います。例えば「ハローグッバイファックユー」だったらにたないけんさん、「旅に出るなら」だったらアディさんだったりと。そういう意味で前回のサカナ★ジュークボックスのフライヤーに載せていただいた「ロックンロールじゃ踊れない」のエピソードをずっと知りたくて。
大志 まあ、あれは1番の歌詞は「THEラブ人間」というバンドに対しての歌詞で、2番は「真黒毛ぼっくす」っていうバンドに対しての歌詞なんですけけど。レテパシーズの最初のきっかけは、THEラブ人間の金田君ってボーカルが下北のCAVEBEってライブハウスで働いていた当時、俺のことをCAVEBEに呼んでくれて。下北に招かれた。で下北でいろんな若者に会って、金田君がドラムを叩きたいって言って、「じゃあ一緒にバンドやろうぜ」ってなって、それでバンドを組もうとしたのがレテパシーズの前身なんですよ。だけどみんな忙しくって結局うまくいかなくて、「僕のレテパシーズ」っていうバンド名、気に入ってたから、ちゃんとやろうかと思って。したっけ、今のメンバーが集まった。今っていうか第一次のね。だからレテパの結成のきっかけは金田君なんですよ。
――そんな経緯があったんですね。それにしても「ロックンロールじゃ踊れない」がまさかラブ人間と真黒毛ぼっくすに対しての歌詞だったとは。そういえばマーガレットズロースの平井さんと知り合われたのもその頃ですか?
大志 平井さんと一番はじめに会ったのはもっと前です。まだ札幌時代に古宮夏希から俺の知らない音楽を聴かされた中で二つだけ好きなバンドがあって、それがナンバーガールとマーガレットズロースだったんです。マーガレットズロースは「こんぺいとう」を聴きました。札幌から東京に引っ越すか迷ってた時期に、ソロで東京にツアーをしに来たんです。その時に下北沢のモナレコードでマーガレットズロースのライブがあったから観に行ったんですよ。そしたらすっげえかっこよくて。それで、平井さんにライブが終わった後で、「俺、歌ってんだけど、明日吉祥寺の曼荼羅Ⅱでライブするんで良かったら観にきてくれません?」って言ったら、次の日本当に来てくれたんです。それで「すごい良かった」ってライブを観て言ってくれて友達になったんです。俺は「こんぺいとう」が好きだったんです。したっけ、その後マーガレットズロースは黒いスーツを着るようになって、でもそんくらい平井さんの中には明確に「ロックンロール」っていうのがあるんですよね。でもさ、「ロックンロール」って俺たちには世界一アナーキーな言葉じゃないですか?だからそういうと、平井さんはどんどんアナーキーじゃなく変わっていった気がした。俺はただ暴力的な衝動を見たいだけなんだよね?結局、ぶっ壊したいだけじゃないですか?ロックンロールって。したっけ、アナーキーで混沌としていたマーガレットズロースから平井さんがどんどん変わっていったような気がした。でもそれは、口出しはできない。人の人生だし友達だし。でもすごい好きでいいバンドだからあん時に「こんぺいとう」は絶賛されるべきだと思います。あれがビジネスになると思われるべきだった。平井さんはあれでいいんだよ。利根川さんとかが変えるべきだったんだよ。それは攻めてるわけじゃないけど。やっぱり演奏する人はする人でいいんだよ。それを方向転換するCD屋とかライブハウスとか、イベンターが舵取りをしていかないと。あんだけ純粋な人なんだから、それは本当に聖職なんですよ。この前のハイコーフェスの平井さんは素敵だったし。テレビ局は、幕末時代の高杉晋作とか坂本竜馬とかの大河ドラマを放送してる場合じゃないだろ?って思いますよ。今、ライブハウスの最前線で闘ってるミュージシャンの奴らは現在進行形で革命を起こしているって思いません?死んでからやるなよNHKって話で。だってジョンレノンやジョニーロットンだって絶対一人ではやれなかったと思いますもん。だってさ黒板五郎は「北の国から」で撮影されてるから「黒板五郎」だけど、あんなおっさんいっぱいいますよ。北海道時代の俺の周りに。どこにでもい(録音ストップ)
このあたりから僕らの会話は迷走し出す。おそらくお互い飲みすぎたんだろう。テレコも途中で止まってしまっていた。大志さんは始終快活に、だけど時に挑むように辛らつなコメントも飛ばした。活字になるとどういう印象か分からないけど、口調はカラっとしていて嫌味がなかった。それでも本当に口に出せないようことは気持ちの奥底にまだまだたくさんあるようだった。
「お客さん、閉店ですよ」と店を追い出され僕らは外に出てみると、来る時に降っていた雨はいつの間にか上がっていた。JR高円寺駅の改札で僕が見えなくなるまで見送ってくれた大志さんが印象的だった。
数日後、大志さんから僕のレテパシーズのファーストアルバム音源が自宅に届いた。聴きなれた曲も初めて耳にする曲も、鼓膜のトランポリンに「ぴりぴり」どころか「ビリビリ」と響いた。僕はそんな「ビリビリ」のファーストを聴きながらこれを書いている。
SORACHI RECORDShttp://www.sorachirecords.com/
僕のレテパシーズ
★「ハローグッバイファックユー」MV公開!!!!!
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=SmRFWJAzm1U
1st ALBUM
「ぴりぴりのファースト」
2013年11月13日発売
SORACHI-15 ¥2,100-
「LIVE AT MOTION」
total(91:04)SORACHI-14 ¥500-(CD)
2012年3月14日
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